北欧発気候テックに注目すべき5つの理由
「2030年までに、世界で最も持続可能且つ統合された地域になる」
これは2018年に、北欧5カ国首脳共同声明として発表された、北欧地域としてのビジョン、Our Vision 2030(注1)です。このビジョンの実現に向けて、北欧では国、自治体、そして地域全体として様々な施策が動いています。実際、最新のThe Green Future Index(注2) では、1位から5位までを北欧5カ国が独占。グリーンな未来を目指して、政策、技術ともに世界をリードする存在となってきています。
北欧発スタートアップも、Einride, Northvolt, Freyrなどのユニコーン企業をはじめ、持続可能な未来に向けたソリューションが多く輩出されています。ここでは特に気候テックに焦点を当て、北欧発気候テック系スタートアップエコシステムの傾向、それを支える仕組み、さらに北欧気候テックスタートアップと日本企業との協業の可能性に迫ります。
北欧発気候テックに注目すべき5つの理由
1. 気候テックが全ベンチャーキャピタル投資に占める割合の高さ
まず特徴的な投資トレンドとして、北欧のベンチャーキャピタル投資に占めるインパクト投資の割合が36%と、世界で群を抜いて高いことです(ここでいうインパクト投資とは、主たる事業がSDGsの少なくとも一つを解決するための事業であるスタートアップ)。
さらにインパクト投資の内訳を見ると、その90%が、気候テック分野への投資であることがわかります。特にモビリティ・交通、エネルギー、素材等の循環利用の分野がウエイトを占めていますが、脱炭素、ブルーエコノミー領域も伸びています。
2. B2B事業、特に製造業の比率の高さ
次は、北欧発気候テックスタートアップは、全欧州と比較してB2B事業が多く、中でも製造業が大半を占めることが特徴として挙げられます。
背景の一つには、北欧は自国の人口が少ないために消費者向けソリューションよりもビジネ向けソリューションの発想が生まれやすいということがあります。人口はEUの5%程ですが、GDPは10%を占めており、一人当たりのGDPはEUで最も高い地域です。
3. 潤沢な公的資金
気候テックに対する公的資金の多さも特徴の一つです。国立の研究機関や政府系機関、公的ファンドに加え、EUが気候テック向けに提供する資金へのアクセスがあります。
4. インパクト分野のユニコーン企業数は全体の1/3へ
気候テック分野を含めたインパクト分野でのユニコーン企業数も増えています。2023年現在、北欧発インパクト分野のユニコーン企業数は全ユニコーン企業数の12%ですが、と言われていますが、今後ユニコーン企業に成長すると見込まれる企業を見ると、その32%がインパクト分野の企業です。気候テック分野では、ZeroNorth, Wattif, Ingrid Capacityなどの企業が含まれています。
5. 増える日本からの投資
最後に、北欧の気候テック分野への日本からの投資傾向です。下記は、直近2年以内の日本から北欧気候テックへの投資案件の一部です。
脱炭素への舵取りが一層進む中、日本の商社、事業会社、そしてベンチャーキャピタル、北欧気候テックへの投資機会を見出しています。
北欧脱炭素フォーラム2024のご案内
NIH東京では今秋10月22-24日に、北欧脱炭素フォーラムを開催致します。
セミナー、ネットワーキングレセプション、個別商談会の3部構成で、北欧の気候テックエコシステムと、脱炭素分野への投資に取り組む日本の大手企業、投資家がつながる機会を提供するイベントです。
北欧の気候テック分野への投資機会をご検討中の方、ぜひご参加いただけたら幸いです。
お問い合わせ先:
tokyo(a)nordicinnovationhouse.com
注1) https://www.norden.org/en/our-vision-2030
注2) https://www.technologyreview.com/2023/04/05/1070581/the-green-future-index-2023/
注3) https://dealroom.co/reports/nordic-impact-startups-2023